数年前に務めていた病院ってのが東北のド田舎で、
山間にあったんだけど、ほんの少し一緒に働いてたおじさんに聞いた話。
大分昔の事だよーと前置きしてから話してくれた。
世間でいうお盆休み期間でも、病院に勤めてるとなかなかそういうのが取れない。
その日もいつもどおり業務を終えて病院を出ると終バス時刻まであと15分くらいだった。
病院を出て5分ほどの場所にある小さなバスの待合所の中は真っ暗だったので、
真っ暗な山道の中でほんの少しだけ外灯の明かりが届く外に出てバスを待っていた。
バスが来る方向を見ながらウォークマン(当時の事だからカセット式)を聞いていると、
町の方から一台の車が通りかかった。
おじさんの目の前で車が止まり、窓がサーっと開いた。
何だ?と思っていると、中から男の人が顔をだし、
「休みを利用して遊びに来たけれど、子供が熱を出してしまった。
救急病院に行こうとしてるのだが、道に迷ってしまった。
どこをどう行けば町に出られるか教えて欲しい」みたいな事を言ってきた。
車の中からはエアコンの冷気が外に溢れ出し、
蒸し暑い外にいるおじさんでさえ「寒っ」となってしまうくらいだった。
車に乗っていたのは、四人家族で運転席に父親、助手席に母親、
後ろの席に男の子(4歳くらい)が1人、その横にタオルケットをすっぽり被って横になっている小さな子がいた。
車内は暗くてよく見えなかったが、男の子はこの寒い車内の中、
タオルケットを被っている子を必死で扇いでいたそうだ。
おじさんは、「もうしばらく走るとUターン出来る場所があるから、
そこまで行って今来た道を戻って行ってくれ、途中で新しく出来た道路があるからそこをまっすぐ…」
と、親切に町まで出る道順と、どこに救急病院があるのかを教えたそうだ。
父親と母親は「助かりました、ありがとうございました」と行って、車を走らせた。
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Source: 哲学ニュースnwk