顔も自由に変えられる時代がついにやってきた。およそ3000個ものLEDを搭載した最新のDIYガジェット「Become Anyone 2.0」は、カスタム画像やアニメーションを表示できる驚きのアイテムだ。

 映画製作者でエンジニアのユーチューバー、シーン・ホッジンズさんが1日、テクノロジーと創造性の融合で生まれたフェイスチェンジマスクを披露した。

 なにかと巧妙すぎる風潮の中、低解像度でバレバレのわかりやすさがむしろ楽しいし、マスク自体がSFみを帯びていて面白い。

誰の顔にもなれるマスクの開発者シーン・ホッジンズ

 LED満載の誰の顔にもなれるマスク、その名も「Become Anyone 2.0」を開発したのはユーチューバーのシーン・ホッジンズ(@SeanHodgins)さんだ。

 映像制作やDIYエレクトロニクス、3Dプリントやプログラミングにも詳しい彼は、日頃から創造とテクノロジーを融合させたユニークな作品で多くのファンを魅了している。

開発の背景と技術

 このマスクのベースにあるのは、ホッジンズさんが5年前に着手したきりになっていた「Become Anyone」プロジェクトだった。

未完成のままだった「Become Anyone」プロジェクトのマスク

 当時はプロジェクションマッピングのような投影技術で顔を変えられるマスクを目指していたものの、実現が難しく断念。今回はまったく新しい方向性から「Become Anyone 2.0」を開発した。

 改良版の新たなマスクは2960個ものLEDが搭載されており、それ自体が粗めでレトロなドット絵風のディスプレイみたいなもの。ある意味サイバーパンクなマスク型電光掲示板ともいえそうだ。

 これさえつければ、誰でもフェイスチェンジが可能。低解像度ながらも、カラフルなLEDで好きな画像やアニメーション、さらには文字も表示できるのだ。

 ホッジンズさんはこのマスク作りに、3Dプリンタを使用。専用のマシンで大量のLEDをカスタムパネルに配置し、オーブンを使って一気にはんだ付けしたという。

高度で複雑な製作工程

 その製作工程は、とても高度で複雑だ。見ための楽しさからは想像がつかないほど、かなり手間と時間がかかったもよう。

 ざっくりした手順でいえば、まずあらためてデザインし直したマスクを3Dプリンタでモデル化。そこからマスクのパーツがつながったカスタムパネルを用意した。

 それにクリーム状のはんだ(リフローはんだ)を塗布して、LEDを配置。今回は小さな電子部品を正確に配置する専用のマシンを使ったそう。

 そのパネルをまるごとオーブン(リフローオーブン)で熱して、LEDを一気にはんだ付けしたら、分離したパーツ同士をはんだで接着し、立体のマスクを組み立てた。

 この作業では、テープを使ってパネルの角度を固定しながら接着し、細いワイヤーで電気的な接続も同時に進めた。はんだが剥がれないように気をつけながらの繊細な作業だった。

 次に Google スプレッドシートで、すべてのLEDを制御するプログラミングを行い、小型コンピューターの Raspberry PiとPixelblaze という小型のLEDコントローラーで制御するところまでこぎつけた。残るは動作確認だ。

ゲームのキャラの顔で動作確認

 ようやくできあがったLEDフェイスマスクは、まぶしいほどの明るさとカラフルな色で、静止画やアニメーションを表示する。

 解像度は低くてもインパクトはばつぐん。これつけてたらさぞかし夜道も明るいことだろう。

 誰にでもなれるマスクとして、ホッジンズさんがまず試したのは、FPSゲーム「Doom」のキャラ、ドゥームガイの顔だ。

 このマスクは1秒間に8フレームしか動かせないが、それでも表情の変化はわかるし十分に面白い。

 なお電源はポケットサイズのバッテリーパックで、最大9時間使えるそうだ。

「狂気じみてる」「誰の顔も模倣できる未来」の声

 ホッジンズさんが12月1日にYouTubeで公開した「Become Anyone 2.0」はすぐに話題となり、17日時点で再生数9万7000超の大人気動画に。ユーザーからはこんなコメントが寄せられている。

・ 品質も組み立てもほどよく狂気じみてんな(ほめ言葉)
・ 次のハロウィーンにこのマスクをぜひ!
・ 数年後に3メガピクセルになって、数秒で誰の顔も模倣できる未来を想像した
・ LEDマスク製作だけでもすごいのに、その工程をSFめいた動画に仕上げるアートセンスな
・ 自力でコード駆使して、3Dプリンタ使って、はんだ付けして、コントローラーまで自作。おまけにこんなメイキング動画まで作るとかおかしすぎて気に入った。次はどうなる?
・ サイバーパンクの沼にようこそ
・ まるごとフレキシブル有機ELディスプレイになったら最高だな!
・ 90年代っぽくて良い。映画「マトリックス」の電話の呼び出し音も良いチョイス

 今回のBecome Anyone 2.0 についてホッジンズさんはこうコメント。

5年前のプロジェクトの改良といっても、方向性を変えればこのようになります。このマスクにはLEDを2960個も使いました。詳細はGitHubで。ソースコードも公開します

 Become Anyone 2.0のデザインや組み立て記録はこちらから。

Become Anyone 2.0 – A Full Face LED Mask

 作りかたの詳細が気になる人は、現在ホッジンズさんが公開中のGitHubプロジェクトページをチェックだ。

References: Become anyone with this LED face mask / "Become Anyone 2.0" is an LED display face-changing mask that lives up to its name / Become Anyone 2.0

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Source: カラパイア