俺の故郷には、昔から「決して開けてはならない」と伝えられてきた部屋があった。

実家の裏手にある小さな離れ。
使われていない倉庫のような古びた建物で、親からは「絶対に近づくな」と厳しく言われていた。

子どもの頃、俺はその理由を祖父に尋ねた。すると、祖父はゆっくりと首を振りながら、こう答えた。

「……あそこには、昔から“あれ”がいると言われている」

それ以上、祖父は何も語ろうとしなかった。

俺が問い詰めても、「名前を口にすることすらよくない」とだけ言う。その顔は、ただの迷信では済まされない、何かを知っている者の顔だった。
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Source: 哲学ニュースnwk