200:本当にあった怖い名無し:2006/07/27(木) 04:00:04 ID:aRVIBW4q0

岡山県の県北には「広戸風」(ひろどかぜ)という局地的な暴風


が起こる。これは奈義山からの吹きおろしで台風の時は必ず被害


があるため、台風になると古い家は板戸を補強したり牛舎の戸を


釘で打ちつけたりするのが恒例行事だ。




うちの地方では広戸風の吹く日は外に出たら「持って行かれる」


という言い伝えがある。広戸風の被害は時として甚大で、屋根ご


と飛ばされる家もでるくらいだから、ある種当然ともいえる言い


伝えではあるが、これには実はいくつかの民話が残っている。




何種類かあるようだが、まとめるとこんなお話。






毎年夏になると台風の時期、広戸風にそなえて各家々は屋根の補強


に忙しくなるが、その村のお袖という女性の家はそういう訳にも


いかなかった。


夫が岡山の方(県南の中心部)へ出稼ぎに取られていたために男


手が不足していた事もあったが、生まれたばかりの赤ん坊の世話


も焼かなければならなかったからだ。




彼女は集落の中でも働き者で豪胆な性格だったので、少しずつで


はあるが一人で家の補強をしながら日々仕事もこなしていた。


その甲斐もあって台風までには母屋の補強は間に合ったのだが、


一箇所補強し忘れていたところがあった。




牛舎の補強である。


当時の牛は大事な働き手であり、心細い家計の支えでもあったの


でそのままにしておく訳にはいかない。


ところが、牛舎の事まで気が回っていなかったので補強に必要な


角材やらが足りない。おりしも台風が強くなりつつある頃合では


あったが、彼女は意を決して赤ん坊を背負ったまま天神社まで木


切れを取りに行く事にした。

2025年5月18日 10_04_56

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Source: 哲学ニュースnwk