グリーンランドの先住民によって、長きにわたり北極圏での生活に適応するように改良されてきた「グリーンランド・ドッグ」は犬ぞり用の犬種で、グリーンランド語では「キメク(Qimmeq)」と呼ばれている。

 キメクは、当時の狩猟採集社会において、犬ぞりを引いて狩猟場へ行くために不可欠な存在であった。

 アメリカ国立衛生研究所(NIH)などの国際研究チームが発表した最新の研究によると、キメクは世界最古のそり犬であるだけでなく、世界最古の犬種である可能性が明らかになった。

 イヌイットの狩猟文化を共にしてきたこの犬のDNAは、まるでタイムカプセルのように1000年前からほとんど変わることなく、脈々と受け継がれてきた。

 しかもその遺伝子は彼らの過去にとどまらず、人類がシベリアからカナダをわたり、グリーンランドへと到達した、北極圏の壮大な旅路の歴史をも伝えている。

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この記事のカテゴリ:動物・鳥類 / 歴史・文化

Source: カラパイア