324: 本当にあった怖い名無し:2011/06/20(月) 13:53:18.10 ID:AZMA800/0
俺の実家の小さな村では,女が死んだとき,お葬式の晩は村の男を10人集め,
酒盛りをしながらろうそくや線香を絶やさず燃やし続けるという風習がある.
ろうそくには決まった形があり,仏像を崩した?ような
形をその年の番に抜擢された男のうち最も若い者が彫る.

また,家の水場や窓には様々な魔除けの品を飾り,それらが外れないよう見張る.
また,番人以外はその夜,たとえ家人であっても家の中に入ってはいけない.
他にもいくつか細かい決まりがあるのだが,
これらは,キャッシャと呼ばれる魔物から遺体を守るために代々受け継がれている風習だった.

16になった俺が初めてその夜番に参加した時のこと.
近所の新妻が若くして亡くなった.
ろうそくを昼間のうちにじいちゃんに教えられたとおり彫りあげ,
夜更けには火を灯し,宴会に入った.

メンバーは若い者から中年,年寄りまで様々で,俺以外は夜番を経験しているものばかりだった
うちの家族からは俺と5つ上の兄貴が参加した.
宴会は粛々と進み,(というか年寄り以外は番に対してやる気なし)

ガキの俺からしても,どう見ても気まずい雰囲気のまま時間だけが過ぎた.
俺は酒を飲ませてもらえなかったため,ジュースでしのいでいたが,
さすがに1時をまわったころ,眠気には勝てず,洗面所に顔を洗いに行った.
ふと見ると,洗面所に二か所あるうちの小さく目立たない方の窓に飾った魔除けが傾いていた.

すべての窓の魔除けは1時間に一回,兄貴を含む若い者が見回っていたのだが,
おそらく面倒で途中から厳密な確認を怠っていたのだろう.
本来ならば,見つけた瞬間年寄りに報告し,飾り直さなければいけないところ,
面倒になり,自分でまっすぐに直して放っておくことにした.
それが原因で兄貴らが爺さん達に叱られるのも見たくないという思いもあった.
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Source: 哲学ニュースnwk